MRDC(Microbial R&D Center)

目指しているのは微生物を賢く利用する未来の農業
土壌中には様々な種類の膨大な量の微生物が生息しており、有機物の分解、栄養循環、土壌の生成などの重要な働きを担っています。
さらに植物の栄養吸収を助ける微生物や病原菌として害をなす微生物、反対に病気から守る微生物などが存在し、植物の生育にも深く関わっています。これらの微生物については解明されていないことが多く、依然ブラックボックスのままです。
MRDCでは土壌中の微生物や植物の生育に関わる微生物を総合的に研究し、微生物を有効に利用する方法を模索しています。

農業に関わる微生物

微生物というと肉眼では見えない小さな生き物として一緒くたに考えられているかもしれませんが、土壌に棲んでいる微生物は多種多様です。
大きさが1μm(1000分の1mm)程度の細菌(バクテリア)、“かび”として日頃目にすることもある菌類(糸状菌/酵母)、土壌表面を緑色に覆っている藻類、ゾウリムシやミドリムシに代表される原生動物、サイズが大きく肉眼でも見ることのできるセンチュウやミミズなどの土壌動物、これらが土壌微生物と呼ばれています。
土壌中には1ha当たり数tの土壌微生物が存在していますが、およそ9割は細菌と菌類が占めています。そのため、これらの土壌中での働きはとても重要です。細菌・菌類の働きは大きく2つに分けられます。

【有機物の分解と物質循環】

細菌・菌類は“食物連鎖のピラミッド”では最下層に位置する分解者と呼ばれます。分解者は植物・動物の死骸や排泄物などの有機物を分解し、窒素やリン酸などの養分物資を放出します。放出された養分物質は植物に再利用されるため、生態系の物質は循環し続けることができます。農地でもこの役割は重要です。堆肥は微生物が存在しなければ植物が利用できる肥料成分に分解されません。また、有機物が分解されなければ土壌は植物残渣が堆積して耕すこともできなくなってしまいます。

微生物の相対的な大きさ

農地における微生物による有機物分解・物質循環

病害発生の三要素

【植物生育への関与】

植物への関与は悪い面と良い面の両方があります。
土壌微生物のごく一部は植物の組織内に寄生して生育不良や枯死を引き起こします。これらは病原菌と呼ばれ微生物による植物生育への負の作用です。しかし、病害は病原菌が存在さえすれば発生するものでもありません。病害が発生するのは主因である病原菌の存在、植物の病原菌への感受性・耐病性(素因)、植物が生育している環境(誘因)の三要素が揃った時です。

良い面の代表は根粒細菌や菌根菌(菌類)に代表される共生微生物です。これらは植物と共生関係を形成し、植物の生育を助けています。根粒細菌はマメ科植物の根部に侵入し根粒といわれる共生器官を形成して、その内部で窒素固定を行っています。植物は根粒細菌から窒素をもらうことができるので土壌中の窒素が少なくても旺盛に生育することができます。菌根菌も同じように植物の根部に侵入し共生器官を形成し、植物にリン酸を供給します。根粒細菌や菌根菌以外にも植物と共生関係を形成して生育を助ける微生物は数多く存在します。また、植物の葉面や根圏にも多様な微生物が存在しており、植物の生育を支えているのです。
さらに、これらの微生物は病原菌による病害の発生を抑える効果も持っています。その作用は様々で、病原菌の餌や棲家を奪う競合作用や病原菌に直接 作用し生育を抑える抗生・寄生作用がなどがあります。

微生物の動きをモニタリング

微生物の働きについて説明しましたが、実は土壌中の微生物のほとんどはまだ名前も無く働きも分っていないものばかりなのです。既知の微生物は約16万種ですが、実際に存在しているであろう種数は10倍以上の180万種とも言われています。未知の微生物の多くは人工的に培養が困難なものが多く、その研究は困難を極めます。近年は、分子生態学の進歩により培養を経ずに微生物の種や働きを推定できるようになってきています。
しかし、土壌中の微生物の動態や働きについては未解明な部分が多く、どういった微生物相が作物生産において最適になるのか、病害をなくすにはどのように微生物に働きかけていけばいいのか…微生物は依然として農業におけるブラックボックスです。MRDCでは、様々な手法を用い多様な作物、地域、作型の農地土壌の微生物相を分析しその答えを探し続け、得られたデータを基に新たな微生物を利用した資材や農法の開発にも取り組んで参ります。

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