GABA(ギャバ)の機能性について
最近、テレビやスーパーなど、様々なところでGABA(ギャバ)というワードに触れる機会が増えてきたのではないでしょうか。今回、みなさまにお届けするシシリアンルージュハイギャバ苗も、このギャバを通常のトマトよりも多く含む果実を実らせます。そもそも、ギャバとはどのような成分なのでしょうか。今回はギャバがもつ機能性についてご紹介させていただきます。
ギャバってなに?
ギャバは「γ–アミノ酪酸」という名称のアミノ酸で、英語ではGamma-AminoButyric Acidと表記されます。そのため、頭文字をとってGABA(ギャバ)と呼ばれています。ギャバが属するアミノ酸と呼ばれる物質の中には、私たちのからだの構成要素であるタンパク質の材料として使用されるものもありますが(20種類あり、その内体内で合成できないアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれる)、ギャバはタンパク質の材料にはならないタイプのアミノ酸です。
それではギャバは何をしているのでしょうか?
ギャバは1949年にジャガイモの塊茎で初めて発見されました。1950年代の初期には、哺乳類の脳においても発見され、多くの研究により抑制性の神経伝達物質(興奮した神経を鎮める神経伝達物質)として機能することが明らかとなりました。その後、動物、植物、微生物問わず、様々な生物においてギャバは検出され、現在ではほぼ全ての生物が保有するアミノ酸であることが知られています。
植物においては、GABAは花粉管の伸長誘導、pHの制御、食害防御への関与などが報告されています。しかし、植物におけるギャバの明確な機能はまだ完全には解明されておらず、現在もあらゆる植物においてギャバの研究が行われています。
さて、本題のギャバの機能性についてみていきましょう。先にも触れましたが、生物におけるギャバの機能は、神経伝達物質としての役割が有名です。しかし、近年ではギャバを持続的に口から摂取することで、以下のような効果があることが報告されています。
・高めの血圧を下げる[1]
・仕事や勉強による一時的な精神的ストレスを緩和する[2]
・睡眠の質(寝つき、眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善する[3]
・日常生活で生じる一時的な活気・活力低下を軽減する[4]
・加齢によって低下する記憶力を向上させる[5]
・肌の弾力を維持する[6]
なんだかヒトの健康に良いことばかりですね…! 現在、これらの効果がどのような作用メカニズムによってもたらされているのか、研究が行われています。
このように多面的な機能を持つギャバですが、先にも触れたようにギャバはほぼ全ての生物に存在しているので、普段、私たちが口にしているものにも含まれています。特に、野菜(トマト、ジャガイモ、カボチャなど)、果物(みかん、メロンなど)、発芽玄米、発酵食品(ヨーグルト、漬物他)に多く含まれていますが、どれも私たちが古くから自然に摂取してきたものですね。
今回、みなさまにお届けするシシリアンルージュハイギャバは、もともとトマトに含まれていたギャバの量を増加させたものです。食卓に並ぶ一つの素材として、様々な食材と一緒に楽しんでいただけたら幸いです!
[1] 梶本ら 日本食品科学工学会誌 51巻 79-86頁 (2004)
[2] Nakamuraら Int J Food Sci Nutr 60巻 106-113頁
[3] Yamatsuら Food Sci Biotechnol 25巻 547-551頁 (2016)
[4] 外薗ら 薬理と治療 44巻 1445-1454頁 (2020)
[5] Yamatsuら 薬理と治療 48巻 461-474頁 (2020)
[6] 外薗ら 日本食品科学工学会誌 63巻 306-311頁 (2016)
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