パイオニアエコサイエンス

2021.06.04
品種の歴史

栽培中のシシリアンルージュハイギャバが 他の畑のトマトと交雑することってあるの?

シシリアンルージュハイギャバの花粉

たまにS N Sやニュースで、シシリアンルージュハイギャバの花粉が、知らない間に近くのトマトにも飛んで何か影響を与えるのではないか、というような心配の声を見ること
があります。
はっきり言って、このようなことはまず起こりません。まずシシリアンルージュハイギャバに限らず、これまで栽培されているトマトで、花粉が飛んで他のトマト品種の品質が
変わってしまったという問題はこれまで耳にしたことがありません起きていません。
またトマトの場合は、自家受粉といって1つの花の中でめしべに花粉がついて受粉し、実が大きくなり種ができます。なので、他のトマトの花粉が付いて違う品種ができるというのは、人為的にやらないと滅多に起きることではありません。

他のトマトに受粉した場合

万が一、他のトマトのめしべにシシリアンルージュハイギャバ花粉が辿り付いたとしても、ゲノム編集技術は突然変異を狙って起こす技術であり、効率よく品種改良を行う技術です。できたものは従来の品種改良でできたものと変わりありません。
なので、何か起きたとしても、これまでの品種改良で得られたトマトで起きうることしか起きません。
それに種を売っている種苗会社さんは、他の品種が混ざらないように非常に注意して受粉作業をし、純度の高い種を採り、それを農家さんが育てています。
そういう意味でも、今回の家庭菜園のシシリアンルージュハイギャバの花粉が付いて、他の品種に影響があるということは考えられません。

専門家達による生態系への確認

さらに、ゲノム編集技術は新しい技術ですので、流通する前に農林水産省へ事前相談し、専門家たちに生態系(専門用語で生物多様性と言います)に対する影響がないか確認し
てもらうことになっています。
シシリアンルージュハイギャバの元となった系統は、この事前相談およびその後の届出も行っており、専門家の目で見ても生物多様性に対する影響
がないと判断されています。

2021.04.16
品種の歴史

シシリアンルージュとは

そう、あれは確か20058月のある夜。 

たまたま夜中に目が覚めてテレビをつけたら、日経スペシャル「ガイアの夜明け」が放送されていました。
イタリアでマウロというブリーダーが開発した「シシリアンルージュ」という調理用トマトを、トマト料理にあまりなじみのなかったその当時の日本で展開しようとしていたある会社のお話です。 

その当時にはトマトがキュウリを抜いて年間で一番購入金額が高い野菜となったのですが、日本のスーパーでは生食で食べる大玉トマトか赤いミニトマトがほとんどで、他の国と比較すると年間消費量はかなり少ない方でした。

実は日本にはそれまでも調理用トマトの品種はあったのですが、生食文化のためにトマトには甘さとみずみずしさが求められており、それまでの調理用トマトでは全く市場には受け入れられてなかったのです。 

マウロが開発した「シシリアンルージュ」は生食でも食べられる美味しさに加えて、加熱調理した際にその本領を発揮する「うまみ」を備えており、狙うべきマーケットはトマト料理という新しい食文化の普及でした。 

そこで最初にその会社が取り組んだのは、「シシリアンルージュ」の特性を最大限に発揮する食べ方の研究です。
東京の南青山のカ・アンジェリ」では「シシリアンルージュ」のフルコース料理がありました。
前菜に始まり、メインの肉料理やパスタ、最後のデザートに至るまで、まさしく「シシリアンルージュ」づくしです。

http://happyrecipe.net/happyrecipe/restaurant/caangeli.html

https://ameblo.jp/achan-world/entry-10110174573.html

 他のトマトにはない旨味によって、どんな料理にも合う可能性が見えてきました。