パイオニアエコサイエンス

2021.03.26
栽培のポイント

栽培の基本編 肥料について

栽培の基本編、つづいては肥料について

肥料とは

皆さんが一般的にいう肥料とは大半が化成肥料となります。
ホームセンターなんかで売っている、8・8・8とか10・10・10とか書いているアレです。
この数値は何かというと「その肥料の袋に入っているチッソ、リン酸、カリウム」の配合率のことなんですね。
例えば10㎏の袋に8・8・8と記載があったときは、その袋に「チッソ0.8㎏、リン酸0.8㎏、カリウム0.8㎏」が各成分で入っていますよ~という意味になります。
プロの農家さんはよく10a(10アール、約1000㎡、333坪です)あたり○○㎏、という計算をします。
この時の10aあたり○○㎏というのは、すべてその成分で計算します。

10aあたり8㎏の窒素を入れたい、となれば上記にある8・8・8を100㎏入れればよいのですが、その際はリン酸とカリウムも8㎏ずつ入る計算になります。
なので、様々な資材を組み合わせてその土地にあった肥料を設計していれるのが一般的なんです。

 

肥料の種類

肥料には様々な種類があり上記にあった「チッソ、リン酸、カリウム」は有名ですので多くの方がご存じかと思われます。
これらは肥料の三大要素として有名ですね。
この肥料にカルシウム、マグネシウムを加えて「五大肥料」とも呼びます。
しかし我々人間が様々な食事を欲するのと同様、植物もおよそ12の成分を必要とします。(細かく言うともっとあります)
残りの7種類、それが微量要素といわれるものです。
主にホウ素(B)、塩素(Cl)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)などがあります。
微量要素は入れる量がわずかなため忘れがちですが、これらの要素が欠乏することによる弊害は計り知れません。
例えば、。銅なんて入れるの?と思うかもしれませんが、銅がないと鉄が動きにくくなります。
鉄?そんなもの入れるの?はい、入れます!人も鉄分補給は大事ですよね。同じです。
で、鉄の動きが悪くなると結果的にマグネシウムの動きが悪くなり、光合成の低下、ひいては糖分を作ることができないので
結果的にチッソと水で育ち、美味しくないトマトの完成です!

OK、じゃあどれくらい入れるの?

家庭菜園での栽培ではよく株あたり100gといった表現が使われていますが、あれは肥料成分ではなく現物の重さで考えています。
8・8・8の肥料を株あたり100g入れるということは、3つの成分が8gずつ入る計算になります。
こまけぇなぁ、と思うでしょうがもう少々お付き合いください(笑)
1株あたりチッソ成分が8g入る、ということは10aあたりやく2000株ほど入れるトマトにおいては10aあたり16㎏のチッソ成分を入れる計算になります。
私どもはトマトにおいては10aあたりチッソ成分で8~10㎏程度を推奨し、足りない分は追肥で補う考えでいます。
ですので、株あたり60g=チッソ成分で4.8g(≠10㎏/10a 2000株)を目安に入れていただきます。

その他の成分は?

チッソ、リン酸、カルシウムはその作物によっておおよその数値が決まっております。
それに対して、カルシウム、マグネシウムの量をしっかりと決めることが出来ればおおよその数値は整います。
ではどれくらいかといいますと、チッソの10倍のカルシウム、2倍のマグネシウムです。
8・8・8の場合、60gを株あたりに入れるとおよそ4.8gの窒素が入ります。そこに苦土石灰(カルシウムとマグネシウムの肥料)を入れるわけですが
成分で見たときに48gのカルシウムと、9.6gのマグネシウムが必要です。
一般的に売っている苦土石灰はカルシウム55%、マグネシウム15%程度です。90g入れるとカル49.5g、マグ13.5g入るわけです。

なので60gの8・8・8と90gの苦土石灰を1株あたりに与えることで、おおよそ適正な肥培管理ができるというわけです。
(本当はリン酸とカリウムは少し足したいのですが、肥料が細かくなるので追肥で対応します!)
ただ、注意したいのは、この施肥はすべて土壌成分がきれいな状態の時です。過剰な場合はコントロールしないといけませんが、その話はまた後ほど。

2021.03.22
栽培のポイント

栽培の基本編

これから栽培について基本から収穫までを追っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

土づくりと施肥管理

ではさっそく、「まずは土づくり」です。
どこでも聞いたような、そして曖昧な言葉で恐縮です。
しかし、まずこれが栽培の一番の基本になります!

皆さんが何かするとき、学ぶときはまず「基礎」を身につけますよね?
土づくりは、植物の土台といえる土壌環境づくりを行うことです。
ガチガチの硬い土で植物が根を張れるか?という難しいです。
なので適切に耕し、適切な堆肥を入れ、そして微生物の力を借りて土をふかふかにしていくことが重要です。

皆さんは自身が食事をされるとき、何が食べたいとか何を飲みたいとか考えて
さらにそれらを狙って食べることができますが、植物は残念ながらその土壌にあるものしか吸うことができません。
本当は体づくりのためにミネラルが欲しくても、それが土壌中になければ吸収できません。
なので植物が欲しい肥料をバランスよく用意してあげることが大事なんです!

では土づくりを掘り下げましょう。土だけに。

まずは堆肥などの有機物をいれて、土そのものを植物が育つのに適した環境にすることですが、
これによって何が作られるかご存じでしょうか?

はい、そうです、団粒構造です!団粒構造とは、土が団子状に固まり、大小の隙間をもった構造のことです。

隙間があるということは、
水が良く抜ける=水たまりになりにくくなる、ということです。
隙間を通り、水がまんべんなくしみていきます。水が団粒の中にも保持されるので保水力もあり、多すぎる水は下に抜けていくという理想的な土壌のスタイルです。

 

 

 

それ以外にも、
根が伸びるスペースがある=根張りがよくなる

空気が抜ける=根が呼吸できるので腐りにくくなる(もっと効果がありますが、それはまた次のお話で)

この団粒構造を作るには堆肥のような有機物微生物の頑張りが必要なんですね。
それを作り上げるのに少々時間がかかります。
そういう意味合いもあって、土づくりは1か月くらい前から取り組むと良いですね。

皆様におかれましては、今月末から4月頭にかけて堆肥を入れ、あれば微生物を投入して土づくりを行ってください。

土づくり、さて何を入れる?

まずはベースとして堆肥と苦土石灰を入れましょう。
堆肥ですが、糞臭のきついようなものは未熟堆肥といってかえって根を痛めてしまう、良くない堆肥です。
理想は中熟たい肥ですが、ちょっと手に入りにくいので完熟たい肥を使いましょう!
もし手に入るなら広葉樹の落ち葉を一緒に入れてあげると、良いより土づくりが出来ますのでお試しください!。
そして生育初期からしっかりと吸収できるように苦土石灰を入れておきます。

施肥量ですが、株あたりの計算ですと堆肥が1㎏(落ち葉があれば同量あるとベターです!)、苦土石灰を90g程を、よく混和して入れてください。まずはこれで下準備はOKです!

ちなみに、本わさびですが水のきれいな山で採れるわけですが、水源付近にある木が広葉樹か針葉樹で辛さが異なるとか。
広葉樹は葉が落ちるので、水源に有機物がいっぱい含まれるのでマイルドになるそうです。
恐るべし、自然の力!