ニュースリリース

カルシウム欠乏の症状として、チップバ-ン(葉先枯れ)や果実の尻腐病の発生が一般的ですが、なぜそのような症状がでるのか、メカニズムを教えてください。 元肥と一緒に炭酸苦土石灰を所定量投入しても発生するのは、どうしてですか?

植物の細胞壁は鉄筋コンクリートのような構造をしています。セルロース繊維が基本骨格(鉄筋)となり、その周囲をペクチンやヘミセルロース等からなる基質(コンクリート)が固めています。
カルシウムはペクチンの繊維同士を結びつけ基質の張力を高め、細胞壁をより強固にする働きがあります。
カルシウム欠乏症状が生長点や果実先端等で起こりやすい理由は、植物体内中でのカルシウムの移行性が悪いためです。根から吸収されたカルシウムは蒸散流に乗って導管を移動し各部位の細胞壁成分として利用されますが、移動しづらいため根に近い部分から優先的に利用されていきます。この為、根から遠い生長点や果実等で利用できるカルシウム量は限られ、細胞壁の構造が弱くなり欠乏症状が発生しやすくなります。
これを防ぐためには、十分な量のカルシウムを植物に供給することが必要です。
しかし、石灰に含まれるカルシウム成分の一部は土壌中のリン酸と結合し植物が利用しにくい難溶態として固定化されます。結果、石灰資材を十分量投入してもカルシウム欠乏症状が発生することがあります。

そのようなカルシウム成分の特性を改善するため商品化した製品が、弊社の「PSカル」です。
PSカル」はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)というキレ-ト形態の有機酸カルシウムになっていますので、通常の形態のカルシウムに比較して、植物体内での移動性が画期的に改善されています。

すなわち、細胞壁の構成要素であるペクチン酸にすぐには捕まらないため、植物体内でもっとも要求量の高いところの細胞まで、確実に到達する割合が極めて高いのです。
PSカル」の定期的な葉面散布によって、チップバ-ンや果実の尻腐れを未然に防ぐことができるばかりでなく、作物の品質と収量の改善効果も高まってきます。
PSカル」が日本各地のさまざまな作物の葉面散布剤として、幅広く定着しているのは、上述の理由からなのです。

2016.01.14